公益社団法人岩手県猟友会

よもやま話

狩猟歴と鳥獣

岩手町地区猟友会 会長 佐々木 守

 私たちの居住地は盛岡市の北30キロ中山間部です。40年ほど前までは、岩手町猟区が設定され県外からの狩猟者が訪れにぎわっていました。当時は主にキジ・ヤマドリが狩猟対象でした。その時期には山野を歩いて見ても獣の足跡があまり確認できなかったと思います。

 その後急激に狐・狸等が増殖し、キジ・ヤマドリが減少してきました。朝早く出動し夕方まで山野を歩き回り収穫が無いままの帰宅でした。その後何度も狩猟をやめようと思ったことか、今年だけ今年だけと思いつつ現在に至っております。その当時は岩手町地区では熊の捕獲は年に1頭捕獲があるか無いか、ニホンジカなどいるはずがない。

 そのころ大船渡方面にニホンジカがいると聞き沿岸方面まで足を伸ばしたものでした。夜中の1時過ぎに出発、夜明けに現地に到着、どこに行けば目指すシカがいるのかも分からず林道を車で走る。

 林道にシカがいるはずが無い、空き地に車を止め山に入るシカの足跡すら見たことが無いわれわれには雲をつかむような話です。いくら歩いてもシカは確認されず夕方に山を降り車に戻る。みんながっかりした様子、それでもまた来ようと誓い帰宅の準備を済ませ家路を走る。そんな事が何回も続いた後やっとのことで小さいオスジカを捕獲、その時の仲間の喜ぶ顔が今でも目に浮かび、地元に戻り猟友仲間を集め自慢したものです。解体作業を終え懇親会の始まり、初めての鹿肉を試食しながらの懇談、その時の鹿肉の味とても美味しいと思ったことを今でも思い浮かびます。

 その後ライフル銃を所持するようになり北海道まで行くようになった。遠い所まで行かなくても地元で捕獲できれば良いと思ったこともあった。

 今では農作物・山林に被害及ぼす害獣、大変な動物です。年々狩猟者が減っている現在どのように対応すればよいのか、地区の猟友会の会議の席でどうして担い手を増やすかが話題になります。若い人たちに声を掛けても興味が無いようだ、生き物を殺すのが嫌いなのか、時間が取れないのか、それともお金がかかるのか分からない。楽しいと思わせるにはどうすれば良いのかご意見を賜りたいと思います。外来種が増え、里に熊が出没、シカ・イノシシ等の被害続出、会員の減少する今どのように対応すればよいのか頭の痛むところです。私どもの地区では被害があれば行政に通報する、行政から連絡を受け猟友会が出勤するシステムとなっております。現地に行って嫌味を言われたり、ご苦労様と言われたり色々有ります、昔は狩猟は趣味の世界だと思っていたが今はボランティアの世界ではないでしょうか。会員の少ない中大変なことですが出来る限りお役に立ちたいと思います。

 当猟友会では5年ほど前から近隣市町の猟友会と交流を実行しており、岩手町・八幡平市との交流会を実施しております。内容は情報交換及び事故防止講習会、会員同士の親睦を図るため懇親会などを実施しております。

 それまでは猟場で黙って通り過ぎたものがお互い声を掛け合うようになりました。今後共よろしくお願いします。今年度も指定管理鳥獣駆除及び狩猟が解禁になりますが、無事故・無違反で猟期を終えることを願う次第です。