公益社団法人岩手県猟友会

よもやま話

狩猟と私 ~雑感~

軽米町猟友会 会長 長興寺一弘

1 狩猟を始めたきっかけ

 妻の兄が狩猟をやっており、平成6年頃から狩猟に同行するようになり、「これは面白い!」と感じ、平成8年7月に地元猟友会の先輩から自動銃を譲っていただき狩猟を始めた。

 当時も今も狙うのはキジとヤマドリで、シーズン10羽前後の捕獲で満足しており、有害鳥獣被害対策ということでカラス、カルガモ、ウサギを数羽程度駆除している。

 今でこそニホンジカと猪による農作物被害で騒いでいるが、狩猟を始めた頃は、鹿も猪もいなかった。大物猟をする先輩方は、北海道とかに遠征しており、自分にとっては 別の世界に感じたものだった。

2 猟への思い

 狩猟とは、本来趣味の世界であり、獲物が獲れて面白い、食べて美味しい、親しい方におすそ分けして喜ばれる、であるのだが、有害鳥獣被害対策となると義務的に感じるのは私だけであろうか。それでもここ数年、ニホンジカとイノシシの捕獲にもう少し取り組まなければ、という思いを強くする自分がいる。また、今年の7月のある日の夕方、自分の水田の畦畔にメスのニホンジカが立っており、距離約50メートルで5秒間ほど見つめ合った。幸いなことに稲に被害はなく、足跡を確認して隣地(他人の土地)の藪を刈り払った。現金なもので、「絶対許さん!」と思いを強くした。

 そういえば、昔のお百姓さん達は農作物の被害を防ぐために、罠を仕掛け銃を撃ったものであり、趣味の世界などと甘いことは言っていられないのである。祖父は岩泉の深山に杣夫として入り、熊から身を守る為に銃を持って行ったことを思い出した。

3 猟友会安全射撃大会最強説

  当猟友会の前会長の菅原茂氏は、「実猟はもちろんのこと射撃も頑張りなさい。」と説く人で、影響を受けた自分は猟友会安全射撃大会を主な活動の場としている。しばらくの間、鳴かず飛ばずの成績であったが、昨年の県大会Bクラスで3位に入り、東北7県・北海道ブロック大会のメンバーに入れていただいた。

 福島市で開催された大会では、Aクラスの多田友和さんとCクラスの佐々木正さんの足を引っ張らないようにと、それだけを考え集中した。

 結果は4大会ぶりの団体優勝で、自分の成績は3位と同点の4位と、それなりに貢献できたのかな、と思っている。監督として引率いただいた寺長根専務理事、事務局の鈴木さんには大変お世話になり、この場をお借りして感謝申し上げます。

 そして、今年の県大会ではBクラス1位となり、これからさらにレベルを上げて来年の全国大会出場を目指しているところである。

 ここにきて成績が上がったのは、3年前にそれまでの勤務先を定年退職し、少しではあるが練習時間を確保できるようになったことと、当猟友会の先輩のスポーティング銃を譲り受けたことにあると思っている。

 猟友会安全射撃大会は、クレー射撃の総合力を競う競技である。トラップとスキートではクレーの狙い方が全く違う。ラビットに至っては、速さが変わったり飛び跳ねたりする。射場によってはラビットの代わりに超高速のスキートで代替することもある。そして白クレーが出る。白クレーを意識し過ぎると反応が一瞬遅れる。かといって、頭から白クレーの存在を完全に消すことはできない。

 このように、奥深く難しい競技は実猟向きであり、ある人に言わせると、猟友会安全射撃大会で最高得点を出す人が最もクレー射撃の上手い人である、とのことである。

4 山の神

 実家に隣接して千坪ほどの杜(もり)があり、そこに小さな社(やしろ)であるが山の神を祀っている。杜の所有者は自分であるので、たまに杜の木々の手入れとか社の掃除をやっている。

 ご存知の通り、山の神とは山の一切を取り仕切る存在で、猟師とか杣師の信仰が篤い女神である。この女神は、醜女で嫉妬深く、オコゼの干物(一説には男根の象徴)を見せると大変喜ぶが、綺麗な女性が山に入ると嫉妬心から厄災とまではいかなくても、良くない事を起こすという。

 10年ほど前の大晦日の夕方に、正月準備をして山の神にお供えに行こうとしたところ、娘と息子の嫁がついてきた。一瞬、山の神の嫉妬心が頭をよぎったが、悪いことをするわけではないので、一緒にお参りした。その後、自分にも娘にも嫁にも良くない事は起きず、山の神に嫉妬されるほど・・・ではなかったのか、と納得するも複雑な気分である。(念の為に記するが、娘も嫁も人並み以上の器量よしである。)

5 生き物の命を奪うということ

 これからも自然の恵みを美味しくいただくために狩猟を、人間の領分を守る為に駆除を続けていくつもりであるが、決して快楽のために生き物を殺すのではない、と固く心に誓う。生き物の命を奪うということは、罪深いことである。山の神の存在を心の拠り所とし、自然に対して謙虚に尊敬の念を持ち、生きていこうと思う。