公益社団法人岩手県猟友会

よもやま話

『狩猟今昔』

胆沢猟友会会長 菊地 司

 「またぎ」の語源は諸説あるがその一つに、猟で命をいただく時、並々ならぬ心構えと鬼の気持ちで立ち向かい獲物を手にする。  
 その当時のこと、タンパク質の食糧として家族、地域の方々に振るまわれ、いく日か経ち獲物を狩る時、又鬼の気持ちで立ち向かったとの伝えが「又鬼」の語 源と聞きましたが、狩人から鉄砲撃ちそしてハンターに、食糧から酒の肴に、そして呑む程に自慢話に花を咲かせ、次の猟場はと仲間同志の情報をもとに談義が 進み猟前日などは熟睡出来ないこともしばしば。今はどうでしょう。  
 私が狩猟を始めた昭和44年当時を振り返ると、胆沢猟友会員500名強程、現在奥州市水沢区、胆沢、前沢、衣川区と金ヶ崎町の4区1町で127名。減った原因はレジャーの多様化、獲物不足、危険なものの所持等が考えられますが、猟は一犬二足三鉄砲と言われた時もあったように犬は猟人にはかかせない伴侶でありながら犬を飼う環境でなかったり、又心無い者がおこす事件、目と心の不注視による誤射等の事故、これらの事故防止策として、安全狩猟射撃を実施し事故 防止に取り組んでおりますが、たとえ県外であっても歯止めがかからない状況ですと世間の風当たりも強く、銃所持の規制を厳しくさせる原因の一つと考えられます。自然に恵まれた胆沢猟友会は、胆沢扇状地と言う奥羽山脈を源とする平野で水も豊富な地であり鳥獣も住み易い地ですが、近年キジは激減し、姿よし味良 しの悲劇かと諦めず出来る限りのことを実行し、後世に繋ぐ努力をしなければならないと思います。44年当時、丑吉さんというベテラン猟師がいて年何十匹も のキツネ、タヌキを獲ると聞きました。毛皮は高額で取り引きされ、えり巻き、ショールに化けたそうです。  
 我々銃所持者は狩猟のみならず有害駆除という社会貢献も担っております。近年の異常気候が追い打ちをかけているのか、在来鳥獣と外来動物による住宅地の徘徊、かみつき、農作物への食害が多発し生活への影響が出ております。又地上を住家とする鳥類の保護のため県猟友会が推奨している有害鳥獣排除に賛同し取り組んでおりますが、狩る知識と技量は当時丑吉さんを師匠と従っていた方が何人かいて、その方々が長年の経験と勘を生かし、今ぞ出番と活動し成果を上げて います。  
 それと合わせて県猟友会が毎年実施しているキジの放鳥事業も着実に成果が出ているものと思われ、キジの繁殖は最低期から脱したように思えます。

 今後も保護増殖、適正狩猟に勉め  
 すべての鳥獣が絶滅危惧種にならないよう
 後世に残す努力をし  
 狩猟という伝統を守るために努力します

 最後に違反事故をおこさないと誓って、定年制のない狩猟を楽しみたいと思います。