公益社団法人岩手県猟友会

よもやま話

憧れの単独猟

軽米町猟友会 菅原 茂

 早いもので、23歳で入った狩猟の道も、もう40年を超えてしまいました。

 何もわからないまま、独りで免許を取り、雉猟から始めましたが、2年目に同級生の入っているグループに入れてもらいました。以来40年余り昨年亡くなった師匠の元で、当地方には大物がいなかったので、ウサギ猟やキツネ猟などを巻き猟で楽しんでいました。平成に入ったころから五葉山の周辺に、シカ猟で出猟するようになり、また、北海道にも遠征するようになりました。

 ちょうどシカが爆発的に増え始めたころで、グループ猟で20頭前後の収穫があり、それなりに楽しんでいました。

 平成の10年頃に静岡の太田氏が狩猟界誌に、単独猟の素晴らしさを何回か投稿してあるのを拝読し、いつか私もと、思いながら夢を膨らませておりました。

 しかし、狩猟勘は、元より方向音痴で、体力も人様より自信の無い私はグループの遠征に日程が合わないときは、猟友に同行をお願いして出猟していました。

 ところが13年には、どうしても仲間の都合がつかず、図らずもあこがれの単独猟をすることになりました。家族の心配をよそに、海を渡り通いなれた足寄町の営林署に行くと、担当者に「一人ですか?本当は一人では困るんですよね。」と苦言を言われ「十年来の場所ですから、無理はしませんから・・」と頭を下げて入林許可をもらいました。シカやヒグマの情報を聞いて、営林署を出ていよいよ憧れの単独猟が始まりました。最初から決めていた、林道に入り、奥まで進み、車から降りて、ブル道を登る。12月の初めなのでシカのコール猟に挑戦しました。カウトークを数回吹いて耳を澄ます、また、数回吹いてあたりを伺う、今度はスウィートコールを吹く、難聴気味の私には、なかなかシカの気配がしない、あきらめて静かに歩き始めたとき、向かいの斜面をオス鹿が走り始めたので、けっこう落ち着いて、二連射で倒すことができました。

 急いでシカに近づいて確認、ほっとする。それからが大変でした。いつものグループ猟では、猟友の解体の手伝いばかりの私が、一人で全部しなければなりませんでした。まず、シカに感謝して、ナイフを入れる。自分なりに精いっぱい解体して後始末も出来るだけ丁寧にしました。リュックに、いっぱいの肉をいれて背負い、大汗をかきながら山を下りて車までたどり着きました。ホット一安心と共に、独りですべてをやったことで、少し自信がつき、少し大きな人になれたような気がしました。

 以来、毎年、グループ猟の他に単独猟に出猟し、最近では地元のハンターさんと共猟したり、妻を自分の好きな猟場に案内したりと猟果にこだわらず楽しんでいます。単独猟は、人間を大きくします。私も間違いなく毎年目方が増えています。(笑い)