公益社団法人岩手県猟友会

よもやま話

「愛銃」

滝沢猟友会 佐藤 一将

 子供のころから銃に興味があり、おもちゃの銃で遊んでいましたが、まさか実銃を持つとは夢にも思ってもいませんでした。それがある狩猟者との出会いであれよあれよという感じで平成12年の冬に銃を取得して早19年…あっという間だった気がします。

 最初に所持した銃は、おもちゃでも持っていた「トンプソンコンテンダー」という410番の単発銃。右も左もわからないまま譲られた銃でした。その後すぐに念願だったレミントンM870(12番)を購入し、射撃と狩猟を楽しみながら、用途に合わせてアンダーレバー式やボルト式、空気銃やライフル銃など色々な銃を現在も所持。誰でもできる趣味なのに特別な趣味である射撃や狩猟を満喫しながら、クレー射撃ではスキートの岩手県代表として国体に出場できる腕前になりましたし、射撃指導員として銃の扱い等を教える立場にもなりました。また、狩猟(カモ撃ち)でもその腕を生かし、1年中いつも銃を手放さない充実した趣味生活を送っています。

 さて、それまで自分の趣味でしかなかった銃生活ですが、平成26年に初めてツキノワグマの有害駆除に参加させていただき、木に登っていたクマを仕留めた銃がトンプソンコンテンダーでした。そのクマは前日夕方に目撃され、次の日は昼頃に目撃。猟友会数名で見回りをしつつ、ちょうど昼休み中の私にも「銃持って昨日のクマ目撃場所付近に来て」との電話連絡。「どうせ行ってもクマは逃げていないだろう」と安易に考えたため、スーツ姿のまま、他の銃があるにも関わらず何となく単発銃とスラッグ数発を持って現場へ…。「まだこの林の中にいるから」と言われ、スーツのまま林の中を歩き回り追い払いをした結果、クマは逃げる方向を誤ったのか木に登って動かず。逃がせば国道や民家方向に行ってしまう可能性もあり、やむを得ず射殺することになったのですが、単発銃なので「ハズしたら誰かヤられるかも…」という思いが脳裏をよぎり、「M870にするんだったなぁ…」と後悔しつつ、その時銃を持っていたのが自分だけだったため「やるしかない!」とスコープを覗き、頭部を狙って1発。うまく命中して木からクマが落ちたものの、まだ息があったのですぐに再装填して仕留め。あまり大きなクマではなかったのですが、初めてクマを撃った興奮と無事駆除ができた安堵感の中、急いで仕事に戻ったことを昨日のことのように思い出します。

 平成27年には滝沢市の農林課に異動となり、鳥獣担当として農家の方々に鳥獣被害対策の助言や有害鳥獣捕獲を積極的に行い、わなにかかったクマの駆除の際にもトンプソンコンテンダーが大活躍。趣味が仕事の一部になり、農家の方などからも「担当が銃を持っているとすぐに対応してもらえて良い」と好評をいただき、農作物被害等があれば携帯電話に直接連絡をいただくようになりました。

 今年は滝沢市でもニホンジカやイノシシの被害が発生し始めたため、これまで以上に獣害対策が重要になってきています。鳥獣対策としてドローンの利用も今年から始めたので、今度は仕事の一部が趣味になりつつありますが、これからも愛銃のトンプソンコンテンダーを使って趣味も仕事も頑張っていきたいと思います。