公益社団法人岩手県猟友会

新着情報

岩手県自然保護課からのお知らせ

ツキノワグマ捕獲許可の運用見直し(特例許可の試行)について 

ツキノワグマ捕獲許可の運用見直し(特例許可の試行)について(182KB)
(平成26年10月 会報掲載)    

第4次シカ保護管理計画の策定について 

第4次シカ保護管理計画の策定(198KB)
(平成25年10月 会報掲載) 

ツキノワグマ対策について

1.はじめに

野生鳥獣の中には、都道府県の区域内においてその数が著しく個体数が増加又は減少し、生物多様性の確保、生活環境の健全な発展に影響をおよぼすおそれがある鳥獣がいます。

都道府県知事は、「特定鳥獣保護管理計画」を策定しそれらの特定の鳥獣に対して、科学的・計画的な保護管理を推進するために、計画を立てることができることとされています。

本県では、現在この制度に基づき、これまでツキノワグマ、シカ及びカモシカの保護管理計画の3つを策定し、様々な保護管理施策を推進しています。

ツキノワグマは、本州以南に生息する大型の森林性哺乳類で、九州では絶滅した可能性が高いなど全国的な減少が懸念されていますが、本県では、人身被害や農林業被害が毎年発生するなど人との軋轢が問題となっており、ツキノワグマと人の共生を目指した個体数管理や被害防除など総合的な対策が求められています。

2.軋轢増加の理由

過疎の進行や地域住民の高齢化により、様々な問題が発生し、ツキノワグマをはじめとする野生動物との軋轢も目立つようになっています。

  1. 耕作放棄地の増加、里山の荒廃
    高齢会により中山間地における耕作放棄地がふえ、これまで利用されてきた里山も人の手が入らなくなっています。そのため、人の気配により警戒して今まで入れなかった里地にも野生動物が入り込むようになりました。また、今まで人間が管理していた柿などの果樹や牧草も放棄され、これを野生動物が利用することで、農作物の味を覚えたり、手入れが行き届かない林縁部が薮になり、野生動物が姿を潜ませる場所が増えています。
  2. 圧力の低下
    高齢化やレジャーの多様化、銃の所持が難しくなるなどの原因により、狩猟者が減少したほか、薪採取や炭焼きなどを目的とする入山が少なくなり、野生動物の人間に対する警戒心が薄れつつあると言われています。
  3. 無意識の餌付け
    山林に接した耕地での作物の作付けなどにより、野生動物に無意識で餌付けをする結果になっています。
  4. 気候の変動
    シカ、イノシシなどについては、気候の変動により、生息するのに適した環境にかわりつつある可能性があります。

3.軋轢を防ぐための方法

ツキノワグマは農作物だけではなく、人身への被害も引き起こします。かつては登山などで入山した際に被害に合うケースがほとんどだったのですが、近年は農地や住宅地など日常生活の範囲内で被害に合う場合も増えています。ツキノワグマは繁殖力が弱いことを考慮して、農業被害に対しては一定の要件を満たした場合のみ有害捕獲を認めています。

一方、人身被害の大きい日常生活の範囲内での出没の場合には、多くの場合有害捕獲を認めています。また、特に危険性の高い場合には市町村が許可をできることとするなど、できるだけ迅速に対応できる体制としています。

ただし、ツキノワグマは、行動範囲が広く、縄張りを持たないため、有害捕獲によりツキノワグマを捕獲しても、また別のツキノワグマが餌を求めて現れます。

そのため、有害捕獲のみでは根本的な出没対策とならない可能性が大きいと言えます。このことから、ツキノワグマが侵出しにくい環境を作ることが、最も適切かつ有効な手段となります。一般的に行われている手段を列記すれば次のとおりとなります。

  1. 電気牧柵
  2. 刈り払い
  3. 爆音・忌避剤
  4. 誘引物の除去

1については、かなり効果があることが実証されています。また、設置に際して市町村の補助を受けられる場合もあるので、最近では設置しているところも多く見られます。ただし、設置する高さを間違えていたり、刈払いなど定期的なメンテナンスをしなかったために、期待通りの効果が出ない場合があるので、正しい使い方をすることがたいせつです。

2については、刈払いにより見通しを良くして、潜む場所をなくすため行うものです。刈払いの手間を省くため、羊等を放牧している事例もあります。また、市街地への出没を防ぐために、出没ルートとなる河川敷などの刈払いを行うことも効果があると考えられます。

3については、音響などによる追い払いの結果が期待できますが、効果がある場合とない場合があるようです。また、効果があった場合も慣れにより効果が減少することがあるので、過信はできません。

4については、ツキノワグマが出没する原因なので、それを取り除くことは最も根本的な解決につながります。農地なのではすべての誘引物を除去するのは難しいかもしれませんが、住宅地などでは他の対策を有効にするために、ツキノワグマが出てくる原因である誘引物を出来るだけ撤去する必要があります。

これらの被害防除対策はツキノワグマに限らず非常に有効ですが、山に追い返しても、山に食べるものがなければ、また戻ってくるため、生息環境の整備もじゅうようとなります。

4.ツキノワグマの個体数管理

岩手県のツキノワグマには北奥羽と北上高地の二つの個体群があり、県でもそれぞれの個体群を別々に管理しています。個体数を管理するためには現在の個体数を知る必要があります。県ではヘアトラップ法などの最新の方法を用いてツキノワグマの個体数調査を行っています。

ヘアトラップ法は図のような有刺鉄線を利用したトラップ(約5m四方)でクマの毛を採集し、DNA分析を行います。トラップを利用した個体の識別により、区画内における最低生息頭数を把握する事ができるものです。

この調査は平成21年から行われており、北奥羽の個体群についてはおおよその結果が出ています。第2次ツキノワグマ保護管理計画策定時に北奥羽の個体群はおよそ450頭とされていましたが、この調査によりおよそ1500頭程度である可能性が高いことがわかり、これまでの推計値が過小評価だった可能性が示唆されました。

ツキノワグマはこれらの推定頭数を基に毎年捕獲上限数を設定し、それをこえないように捕獲数の管理を行っています。捕獲上限数はこれまでの捕獲頭数なども勘案して設定されています。ヘアトラップ調査の結果を受けて従来25〜30頭程度であったものを108頭まで引き上げています。

今年度に策定予定の第3次計画は北奥羽・北上高地個体群とも、この新しい生息数を反映させた計画となる予定です。

5.最後に

 ツキノワグマやシカなどについては、狩猟も個体数調整の手法として重要な役割を担っています。
今後とも狩猟や有害捕獲に携わる皆様のご協力をお願いします。

鹿猟を行われる皆さんへ