公益社団法人岩手県猟友会

よもやま話

老ハンターの楽しみ

盛岡猟友会理事 石川孝

  高齢になると必然的に動作は緩慢、判断力は低下、視力も減退してくる(例外の人もいるかも)と矢先が心配で発砲ができない場合が多い。里でのキジ猟等は気が重く出猟もしなくなってくる。それに較べ山中での狩猟は矢先の安全度が高い。となるとヤマドリ猟という事になってくる。老ハンターに沢登りが大変で、とても猟にならないのでは無いかと心配されるでしょうが、私には強い味方がいて解決してくれるのである。山で獲物を追っているうちに獲物を追い越し、獲物が後からノコノコ付いてきたという健脚の持ち主S氏、早打ちマックと異名を持つO氏の猟友である。

 渉猟中そろそろヤマドリが動く時間帯になると、なじみの沢に向かう猟友は 「Iさんは、ゆっくり登って来ればいいよ。あんまり頑張ると帰りが辛くなるよ。」と言い残して愛犬共に沢をどんどん登って行く。私は自分の足に聞きながら周りを眺めながら登って行くと、「バン」と銃声が聞こえて来る。「ヤッタな」と思っていると、長い緒の見事なヤマドリを背に愛犬と悠々と降りてくる。然し何時もそうなるとは限らない。「バン、バン、バン」と銃声が聞こえて来る。失中かなと思っていると「イッタゾー」と無線で叫んで来る。待ってましたとばかり銃を構えて、ヤマドリの下ってくるのを待つ。この一瞬が最高に楽しい。ソレ来た、「バン、バン」銃が火を吹く。その結果、頂きとなるか、残念でした又どうぞと飛び去って行ったかは、皆さんの想像にまかせます。このオコボレ頂戴猟もヤマドリの尾根越で沢下りが少なくなり、オコボレ猟のチャンスも少なくなって来たが、楽しい渉猟の日々であった。老ハンターが楽しく狩猟が出来るのも、猟友のお陰であると、心から感謝しており、今年も楽しく猟ができるよう、健康の自己管理に気を使いながら、今猟期も誘って下さる事を願い狩猟の解禁を待っている老ハンターである。