2016年1月アーカイブ

有害鳥獣対策事業に思うこと

宮古地区猟友会会長 攝待 義男                                                                                                               

 東日本大震災から4年半になりますが、全国の多くの皆様から励ましとご支援を賜りまして大変ありがとうございました。

 特にも、被災猟友会員に対しまして県内の猟友をはじめ全国の猟友の皆様から暖かいご支援、お見舞いを賜り深く感謝申し上げます。

 今、当市では復興に向け家屋を失った方々が入居する災害公営住宅の建設、分譲地などの宅地造成、津波・高波から市内(市民の財産)を守る堤防の嵩上げ工事の公共工事や個人住宅の建設、民間事業者による工場等の再建・新築工事が行われ、さらには宮城県から岩手県沿岸を縦断し青森県に通ずる三陸道(高速道)の新設工事や当市川井地区から遠野市に通ずる国道のトンネル化を主とする改良工事が行われ大きく変わろうとしております。

 余談ではありますが、私も被災者です。被災地域では高台へ家が建ち、宅地造成がされています。かつて、ある施設建設用地造成のため、遺跡調査をお願いした時に縄文人の竪穴住居は小高い山や丘の上に位置している。海辺や川筋にはないと調査担当の話でした。生きるための猟(漁)や食料採取の場にいくら遠くても住居を高いところに造った。先人たちは自然の恐ろしさを知り尽くしていたのでしょう。今、縄文化しているのかな?

 さて、イノシシ、ニホンジカ、エゾシカ、ニホンザル、タヌキ、アナグマ、ハクビシン等の獣類やカラス、キジ、スズメ、カルガモなどの鳥類の有害鳥獣の食害による被害が全国に広がり、その被害額が2百億を超え、さらに増え続けているとされ、国では対策の計画策定を全国の県・市町村に求めるとともに、その事業費を予算化したことにより、我々鉄砲撃ち(ハンター)に大きな変化、過渡期を迎えることとなりました。

 縄文時代から続いた生活としての狩猟は、現代社会になり趣味としての狩猟から社会貢献としての狩猟へと!

 先日、町内自治会の役員会(私は自治会長を仰せつかっている)で、何かと忙しい話をしましたところ趣味のことでと一蹴されましたので、有害鳥獣の被害額とこの被害防止対策として今ハンターは消防団と同じように市長から辞令を受けニホンジカの捕獲をはじめ有害捕獲活動を年間を通じて行っており、活動の主旨は全く違う(町内の方に分かり易いと思い消防団を例にした)が単純に活動の日数はハンターの方が多くなると説明をしました。

 このように、ハンターの活動が社会一般に周知され、理解を得るまでには多少の時間を要するものと思います。

 当猟友会では、市内の猟友を5地区に分けて班編成し、さらにシカ対策班、鵜対策班、クマ対策班に班分けして猟期においては一定の活動日を設けてニホンジカの捕獲活動しており、また一定の期間閉伊川漁協からお願いされて鵜の捕獲を行っております。しかし、年間の活動について緑の多い(木の葉の濃い)時期の活動は自粛しているものの市や農家から捕獲等の依頼があった場合など特定の時は、班長に指示等を一任はしているが詳細が確立しておらず様々な面で会員又は隊員に対して周知不足ではないかと心配しており、今後検討が必要なものと思っております。

 いずれにしても、県事業委託によるニホンジカの捕獲事業や市有害鳥獣被害対策実施隊の活動事業において、2年前までは考えられなかった報酬、報償費やガソリン代等の費用弁償の金銭の給付が伴うことと狩猟税が減免されることになりました。

 今まで考えられなかった金銭が伴うことで、一頭捕獲していくらという感覚で活動をしては、必ずどこかで会員間の意識のずれなどが生じ組織が行きづまることなります。猟友会があってはじめて事業に参加でき、個人では参加できないことを忘れてはなりません。

 また、ニホンジカをはじめ捕獲鳥獣の専用の処理施設等はありません。今後、関係機関とも協議、検討していかなければなりませんが、無ければ無いなりに狩猟講習会等で学んだとおり捕獲者自身が責任をもって処理・処分をすることを確実に実行しなければなりません。放置することがあってはなりません。

 法令やマナーを守りどのように活動して、どのように社会貢献したらよいか猟友会員皆で考えていくことで社会にハンターが認められて(法的には認められているが)行くものと思います。このことを意識することで、事故防止にも繋がっていくものだと思います。特に事故は絶対にあってはなりません。一度事故が起きると我々の活動が理解されず、活動に係る予算も理解(計上)されなくなることが懸念されます。一人ひとりが射撃訓練会や会議(打合せ)には必ず参加することなど各自が自覚して社会貢献、事故防止を図って頂きたいと思います。

 重ねて述べますが、くれぐれも一頭いくらの感覚は持たず、皆で協力して無事故で社会貢献をして行くにはどのようにしていけばよいか考えて頂き、より良い猟友会になって欲しいと思っております。

 岩手県において、認定事業者制度が導入されても社会貢献の精神を失わないで猟友会が運営されればよいのではと思います。

集え!! 若手猟友会員!

岩手県猟友会 青年部設立準備会発起人代表  志田 崇(岩手町地区猟友会) 

  この度、県内の若手猟友会員様方に広くお声がけし、初の射撃交流会を開催するはこびとなりました。

 その大きなきっかけとなりましたのは、昨年の夏に開かれた岩手県猟友会50周年での対談でした。諸先輩方にはじまり、現役若手会員と言う事で、宮古地区猟友会の西村さん、江刺猟友会の小原さん、そして私も参加させていただきました。

 対談では、昔の事や今の事、色々な事案が話し合われましたが、ベテラン会員からは、若手会員についての問題点などが話題としてあげられました。その中でも猟友会の将来は大きなテーマで、最近では、年々、ハンターが減りつつあり、このままでは有害駆除もままならなくなり、冗談ぬきに「絶滅危惧種」ならぬ「絶滅危惧団体」となってしまうような深刻な問題を抱えています。

 私自身も、県猟の狩猟試験前の予備講習会等の講師をしながらも、切実に感じていた「このままでいいのか?」と言う思いとも重なります。

  どの様にしたら、未来を担う、良識ある若手ハンターが育つのか?それについて、色々な意見、提案が、ベテラン、若手を問わず出されました。「なぜ増えないのか?」...その理由としてだされた意見は、「所持するまでにハードルが高すぎる。」、「金銭的問題」、「やってみたいけど周りに相談出来る人がいないし、手続きや試験が面倒そう。」などがあげられました。

 所持に関するハードルの高さについては、佐々木洋平会長様にもご尽力をいただくと言う希望をこめて、さて、自分達、現役若手会員としての自分達は、なにが出来るのだろうと思っていた矢先に、宮古の西村さんが「自分達のような、若手が率先して動いて行かなければいけないと思います。」と発言してくれました。自分だけではなく、身近な若手会員の中からも、心強い発言を頂き心から嬉しく、大きな勇気をいただきました。

 この対談で、ベテラン会員も我々若手会員も思いは同じであり、今後の猟友会の未来も決して暗いものではないと確信でき、とても有意義な時間となりました。

 それから、しばらくしての事です。思いがけず、また、関係者が集まると言う機会を頂きました。それは、県の自然保護課からの依頼でしたが、今回新規狩猟者の確保・育成を進めるために行っている、捕獲の担い手セミナーを開催するにあたり、県内の若手狩猟者に直接意見や要望、アイディアを聞かせて頂きたいと言う事でした。

 7月6日、県庁において、県内の若手狩猟者が7名集まりました。この若手7名は、県猟が開催する、射撃大会でも顔を合わせる方々でした。早速、話し合いが始まり、セミナーの内容やパンフレットを作成するにあたって色々な意見が出された他、新規狩猟者向けの実猟見学や実際の解体などについても話し合われました。

 県の担い手セミナーの話し合いも無事に終わり、その後、折角若手狩猟者が各地から集まるチャンスも中々無いと言う事で、場所を移し、二次会の話し合いの場を設けることになったのですが、そこでもまた、前回の50周年対談の時と同じ問題点が出されたのです。

 その1つとして、「狩猟はしてみたいけど、近くに狩猟をしている方がいない。」もしくは、「狩猟知識を持っている方々と繋がりが無い。」と言った不安があり、実際に免許取得にブレーキをかけていると言う悩みでした。私も、その様な相談を受けた事があるので納得しました。

 一昔前ならば、ご近所に狩猟者がいて、はなしを聞いたり、捕れた物をご馳走になったりしているうちに、だんだん興味を持ち「自分でも狩猟をやってみたい!」と免許取得のきっかけとなった諸先輩方も多くいらっしゃると思います。

 しかし、現在では、テレビやワイドショーなどで野生動物による多数の被害や環境問題が話題になっているにもかかわらず、残念な事に前文で挙げた様な悩みを持ち、相談も出来ない様な環境を打開するために、「今、自分達が出来る事から始めてみましょう!!」と言う結論になりました。それが、今回の初の試みとなる、若手経験者と初心者との交流会です。内容としては、射撃交流会などを開催し、普段あまり射撃場に来ることが無い方、狩猟経験が無い方にも気軽に参加してもらい、経験者から実際に指導して頂いたり、狩猟の話を聞いたりするほか、日頃から若手初心者会員の心に抱いている疑問や質問、不安などの解消に役立てる楽しい交流の場となることを切に願います。

 この交流会によって、これからの猟友会で活躍してくださる、若手狩猟者が数多く増え、将来の各地区猟友会の大きな力となってくださればと考えております。

 また、ベテラン大先輩会員の皆様には、未来の猟友会員のためにも、これからの新人、若手狩猟者を心あたたかく応援、ご指導ご鞭撻いただきます様に、何卒宜しくお願い申し上げます。また、この交流会がきっかけとなり、今後も様々なイベントや練習会、勉強会なども皆様と発案、企画していけたらと考えておりまので、あわせてご指導ご協力を宜しくお願い申し上げます。

 今回の交流会の発案、企画にあたり、対談等で色々な、ご意見ご指導を頂いた多くの大先輩会員様方や若手猟友会員様に、この紙面をお借りして、心より御礼申し上げます。

夏の熊

紫波郡猟友会 村井 直衛 

 なぜか今年の夏は里に現れる熊が殆どいない。

 県内有数のフルーツの生産地である紫波町では、例年、七月から八月にかけては、山際の果樹園芸農家を中心にほぼ毎日のように熊による被害が報告され、町役場の担当課と有害鳥獣対策実施隊が対策に走り回らなければならない季節である。

 人里での熊による人身被害もこの季節に集中し、去年までは四年連続でこの時期に発生している。

 最近の熊は人を恐れるどころか、人里イコール餌場と認識する個体が多くなっていると言われ、年毎に熊による被害が増大している状況の中で、今年は早くも五月に二件の人身被害が発生した。

 一件目は山の中に山菜採りに入った人が出会い頭の熊に襲われた事故だったが、二件目は水田地帯の真ん中に位置している農家のイグネの古木に営巣したニホンミツバチの巣を狙ってやってきた親子熊にその家のご主人が襲われたのである。

 ドクターヘリが出動するほどの重傷だった。

 その時間帯は、現場のすぐ近くの小学校が運動会の真っ最中で家族連れが多数集まっており、二次被害が起こる危険性が高かったのだが、幸い、紫波町の有害鳥獣対策実施隊が出動して二頭の親子連れを発見し射殺したため事なきを得た。

 その後も町の東西の山際の集落で熊の目撃情報が相次ぎ、今年の夏は例年を更に上回る被害増となるのではないかと思わざるを得ないような状況だった。

 しかし、六月の中旬に入ったあたりから、なぜかバッタリと里での熊の出没情報が途絶えてしまったのである。

 例年、電気柵などものともせずに侵入して来る熊たちに散々な被害を受けているモモや早生リンゴの生産農家やトウモロコシ栽培農家などが首を傾げるほどに熊は現れないのである。

 不思議に思い、あちこちに問い合わせてみたところ、隣接する地区や沿岸地区までもが同じ状況だという。

 どうも今年の山の実成りが良いことがその理由のようだ。

 特に今年のブナは大豊作らしく、熊にとってはあえて命の危険を冒してまで里に下りる必要がないということのようである。

 ブナの豊作の年は多くの雌熊が仔を生むといわれている。

 しかし、ブナは豊作の翌年は大凶作になるのが通例である。

 そうなれば、来年は多くの子連れ熊が大挙して里に現れる可能性が極めて高いことになる。

 それを思えば、いささか憂鬱な気分のこの頃である。